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ジャイアントパンダ「シンシン」の妊娠の可能性と公開中止について

【2021/6/4】

 上野動物園では2021年3月6日にジャイアントパンダの交尾を確認し(お知らせ)、メスの「シンシン」の状態を注意深く観察していますが、妊娠の可能性があるためお知らせします。

 

シンシン(2021年5月10日撮影)

 

 なお、上野動物園は本日2021年6月4日(金)に再開園しましたが、シンシンが安心して出産にのぞめるよう公開を中止します。 また、ジャイアントパンダには「偽妊娠」という現象が知られており、妊娠が確定したわけではありません。

 シンシンは2005年7月3日に中国の臥龍保護センターで生まれました。現在の健康状態は以前と変わらず良好です。体重は5月25日時点で126.2kg、目立った変化は認められません。

 

妊娠の可能性の判断根拠となる項目について

(1)食欲の変化 5月23日頃からタケの採食量にわずかな減少が見られ、5月31日頃以降、通常の1/4程度にまで減っています。

(2)行動の変化 5月23日頃から休息時間がわずかに増加しはじめました。6月2日頃には通常の2倍程度の休息をとっています。

(3)体の変化  今のところ変化は認められていません。

(4)ホルモンの変化 尿中の妊娠を示すホルモン代謝物の検査結果が妊娠時に見られる特徴的な変化を示しています。

 

 5月10日からシンシンに対して、動物舎内にある産室への「馴らし」を始めました。現在、休息する際にときどき産室を利用することが確認されています。

 

※オスの「リーリー」は西園「パンダのもり」で公開、メスの「シャンシャン」は東園パンダ舎で通常どおり公開しています。

 

今後の予定

ジャイアントパンダは妊娠期間に幅があるため出産予定日は不明です。引き続き食欲や行動、ホルモンの変化等を総合的に判断しながら、出産への準備を進めていきます。

 

 シャンシャンを出産した2017年のシンシンの状態経過は次のとおりです。

 

2017年
5月16日頃 採食量の減少、休息時間の増加が見られ始める
5月25日  出産に向け展示を中止
6月12日  出産

 

偽妊娠
偽妊娠は病気ではなく生理現象の一種です。排卵後、受精が生じなくても妊娠と同じ経過をたどることが知られています。たとえば尿中ホルモン値の上昇、動作の不活発化、休息時間の長期化、食欲不振、乳頭の明瞭化、乳房の腫脹、巣作り行動など、妊娠時と同様の現象が現れます。現象はやがて消失し、偽妊娠の状態は終わります。

 

着床遅延
受精卵がすぐに子宮内膜に着床せず、胚盤胞の状態でしばらくのあいだ子宮内に浮遊し、それから着床・発育を始める現象です。温・寒帯に分布するクマ類やイタチ類、鰭脚類、カンガルーなどに知られています。着床までの時間によって妊娠期間も変わります。

 

(2021年06月04日)

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