【近況更新】シャオシャオとレイレイ──ハズバンダリートレーニングを始めました
【2023/12/17】
2023年12月17日更新:
近況を追記しました。くわしくはこちらをご覧ください。
上野動物園では、ニシゴリラやホッキョクグマ、アイアイ、クロサイなど、多くの動物で健康管理のためのハズバンダリートレーニング(※)に取り組んでいます。ジャイアントパンダでは、これまでに「リーリー」や「シンシン」、「シャンシャン」で定期的におこなっており、血液検査や口の中のようすの観察などに役立てています。
2021年に誕生した双子のジャイアントパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」でも、2023年7月からハズバンダリートレーニングを開始しました。
(※)ハズバンダリートレーニング
動物の健康な飼育と人間の安全な作業を目的として、動物に自発的な行動をとらせるための訓練
ふだんの寝室でのようす
ハズバンダリートレーニングでは、トレーナー役の飼育係が特定の指示を出し、動物がそれに応じた行動をしたら、ご褒美を与えるという方法をとります。はじめは動物が混乱しないように、特定の飼育係がトレーナーとなり、指示を出すタイミングや動きを統一して、トレーニングを作り上げていきます。ゆくゆくは、採血やレントゲン撮影の項目に取り組む予定です。
トレーニングのようす(シャオシャオ)
トレーニングのようす(レイレイ)
トレーニングは1頭ずつ非公開エリアへ移動させておこなっています。そのため、展示時間中に実施する場合には、2頭のうち1頭のみの展示となります。また、実施のタイミングについては、その日の2頭の状態・状況を見極めて判断しているため、事前にトレーニングの日時を決めておくことはできません。
シャオシャオとレイレイの健康管理のためということをご理解いただき、トレーニング実施へのご協力をお願いいたします。
2023年10月29日に初めてシャオシャオの採血に成功しました。
採血する部屋でトレーニングを始め、腕を出す、駆血のために腕を押さえる、消毒用アルコール綿で採血部位を拭く、針を当てる、といった項目を段階的に進め、本番に臨みました。
採血は痛いイメージがあるかもしれませんが、リーリーやシンシン、シャンシャンも含め、採血時に痛がるそぶりを見せたことはほとんどありません。シャオシャオも同様に、針の抜き刺しに対して痛がるそぶりは見られず、採血後も腕を気にするようすは見られませんでした。
11月3日からはレイレイの採血トレーニングを再開し、順調に進んでいます。引き続きトレーニングを重ねていきますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
2023年12月8日、シャオシャオに続いてレイレイでも採血に成功しました。
シャオシャオとレイレイは9月から採血に向けたトレーニングを開始し、同じようなペースで訓練を積み重ねてきました。しかし、少しずつ2頭の進捗に差が出てきたことで、シャオシャオには合っていた方法が、レイレイには合っていないことがわかりました。そこで、しばらくレイレイのトレーニングを中断し、シャオシャオの採血トレーニングに区切りがついたところで、あらためてレイレイの反応に合わせて方法の見直しをおこないました。
それが功を奏したのか、日に日にレイレイの動きは洗練されていき、最終的にトレーニングの開始から採血成功までにかかった日数はシャオシャオとほとんど変わりませんでした。また、シャオシャオの採血時同様、レイレイも針の抜き刺しに対して痛がるそぶりは見られず、採血後も腕を気にすることはありませんでした。
今後、定期的に採血をおこなうことで、シャオシャオとレイレイの健康状態をより正確に把握することができるようになるでしょう。これからもいろいろなトレーニングに取り組み、2頭の健康管理に役立てていきます。
〔上野動物園西園飼育展示係〕
(2023年08月03日)
(2023年12月01日:シャオシャオの採血について更新)
(2023年12月17日:レイレイの採血について更新)