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熊猫的新聞(パンダニュース)~飼育係レポート~

熊猫的新聞(パンダニュース)
~飼育係レポート~

第11回 日本の夏 2011.8.12

 2頭のジャイアントパンダにとっては初めての日本の夏。今年(2011年)は梅雨入りも梅雨明けも早く、6月末から東京は真夏日の連続でした。

 気温が25℃を超えると、パンダは屋外運動場に出しません。25℃以下に保たれた室内で終日を過ごすことになります。

 2頭にとって初めての日本の夏は試練の夏なのか?

 昨年7月までは中国の広州の動物園で過ごしていましたが、広州の気候は日本に似ているようです。年間の平均気温は20℃くらい。7月は平均気温が29℃前後で多湿のようです。一方冬場は気温が5℃くらいまで下がる日も珍しくな いそうです。

 もちろん広州でも夏場は涼しい室内のみで飼育されてたので、上野動物園に来ても環境はあまり変わらず、とくに問題なく元気に過ごしています。

プールに入り「涼しい!」

 今年の夏は7月1日から電気事業法第27条による「電気の使用制限」が発動され、契約電力500kW以上の大口使用者は節電が求められています。上野動物園は昨年ピーク時使用電力の15%以上節減に取り組んでいます。

 パンダ舎はパンダの室内を25℃以下に保つ必要があるほかにも、餌となるタケを保管する大きな冷蔵庫が電力を消費します。このふたつはパンダ飼育の生命線です。

 パンダに我慢を強いるわけにはいかず、しかしパンダだけ特別というわけにはいきません。そこで、代わりに飼育係が観察ルームで冷房を使用しないことにしています。この部屋は観察用のモニターなど熱源となる機器類が多く、こ れまでは当たり前のように冷房を使用してきましたが、今年は部屋の窓を開け飼育室から流れてくるパンダ用の冷気をお裾分けしてもらっています。パンダやタケ用の冷房もこまめな温度設定で消費電力の削減に取り組んでいます。

 日々、節電に結びつくアイディアを模索しながら飼育しているところです。

窓を開けた観察ルーム

〔上野動物園東園飼育展示係 倉持浩〕

(2011年08月12日)

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