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熊猫的新聞(パンダニュース)~飼育係レポート~

熊猫的新聞(パンダニュース)
~飼育係レポート~

ジャイアントパンダ、クリスマスプレゼントを堪能 2014/1/11

 上野動物園で昨年(2013年)12月23日と24日、恒例のクリスマスイベントを開催し、ジャイアントパンダのリーリー(オス)とシンシン(メス)にクリスマスプレゼントを贈りました。2頭が日本で迎えるクリスマスは3回目。毎年くふうを凝らしたプレゼントを贈っています。

 今回はパンダの新たな一面を知っていただけるようなイベントとして、サンタクロースがおもちゃを入れる袋に見立てた麻袋と竹筒でできたプレゼントボックスをプレゼントすることにしました。

 麻袋は、ニンジンとパンダ団子と藁を入れたクリスマス特別仕様。サンタ姿の飼育係が麻袋をそれぞれの運動場に置いたところ、運動場に出た2頭はすぐに近づいてきて、臭いをかいだり鼻先で押してみたり、見慣れない大きな袋に興味津々。前肢を使って餌を器用に取り出して食べていました。

 ところがしばらくすると、2頭は麻袋を頭上でブンブンと振り回し始め、まるで職人がピザの生地を指で回し広げているかのような行動を見せました。麻袋からこぼれ落ちた餌を食べるだけでなく、とくにリーリーは麻袋が気に入ったらしく、袋から出た藁をつかんで体を洗うようにこすったり、つもった藁に背中をこすりつけたり大はしゃぎ。一方、シンシンは袋への興味をすぐに失い、黙々と竹を食べるようすが対照的でした。

 新しいものには積極的に手を出すけれど飽きやすいシンシン。慎重派ですが安全とわかると飽きることなく遊ぶリーリー。2頭の性格の違いがはっきりと表れていました。

 夕方には、プレゼントボックスに見立てた竹筒をいつもの筋力トレーニングの時と同様、上から吊して2頭を後肢だけで立たせて取らせました。プレゼントボックスは太さの違う2つの竹筒です。これに蓋をし、麻糸でリボンをかけました。自然素材なので、パンダがもし食べてしまっても害はありません。中には細かく切った団子やニンジン、リンゴを入れました。

 いつものトレーニングで要領を得ている2頭は、両前肢を目いっぱい上に伸ばし、見事にボックスをキャッチ。歯でひもをはずし、蓋を開けて中の餌を食べると思いきや、部屋から聞こえてきたのは「バキバキ!」という音でした。

 ボックスそのものを食べ始めたのです。最初は2頭とも大好物の中身に気づきませんでした。結局中身まで、時間をかけて完食し、とても満足そうでした。いつもと同じ竹や団子も、与える方法によってこんなにもパンダの反応が違うものかと驚きました。

 動物園では動物の生活が単調になりがちです。そんな動物たちのストレスを解消し、健康にくらせるよう飼育係は、餌の種類や与え方、飼育環境などに変化をもたせることで動物に刺激を与えたり、動物が本来もつ能力を引き出したりするためのさまざまなくふうをしています。

 クリスマスプレゼントも、ジャイアントパンダの食事に変化を与えるとともに、直立するパンダの身体能力や、餌を取り出す前肢の器用さ、太い竹筒を咬みちぎる力強さなどを来園者の方々に見ていただき、喜んでいただくよい機会でした。

ジャイアントパンダ、クリスマスプレゼントを堪能

写真左上:つもった藁の上で大はしゃぎのリーリー
写真左下:竹筒ボックスまで平らげるリーリー
写真右:「何が入っているのかなあ?」、シンシン

〔上野動物園東園飼育展示係 阿部展子〕

(2014年1月11日)

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